苦情解決の仕組みの指針

児童発達支援や放課後等デイサービスの苦情解決は、基準省令第50条のほかに、社会福祉法82条でも決められており、厚生労働省が示した苦情解決の仕組みの指針に沿った解決が望ましいとされています。

苦情を、「利用者の声」として、サービスの質の向上につなげることができればすてきな事業所になるかと思います。苦情解決には、事業者の真摯な対応が必要となります。

事業所の指定時に苦情解決について記載したけど覚えてない、指針に沿った内容になっているかわからない状況になっていれば、ぜひ確認してみてください。

基準省令以外に、厚生労働省から通知されている「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」を参考に解説しています。

記録用の参考書式も掲載しています。

目次

苦情解決の流れ

苦情解決の手順を見て行きます。

  1. 利用者に苦情解決の仕組みや相談先を周知する
    • 苦情解決責任者がだれか
    • 苦情受付担当者はだれか
    • 第三者委員会があるか、氏名と連絡先
    • その他の苦情相談先があるか
    • 苦情解決の仕組み全体の周知
  2. 苦情の受付と記録
  3. 苦情受付の報告と確認
  4. 苦情解決に向けて話し合い
  5. 苦情解決結果の記録と報告、公表

苦情対応の体制

苦情解決責任者

法人や事業所のトップが苦情解決責任者となります。代表者や理事、施設長が担当します。

苦情受付担当者

利用者が申し出をしやすい環境を整えるため、職員の中から苦情受付担当者を任命します。

  • 利用者等の「話を聴く」ことができる、相談援助技術を有する職員
  • 事業内容をよく把握している職員
  • 男女各1名とする等、複数配置

児童発達支援管理責任者を受付担当者として任命するのがわかりやすいです。

第三者委員会

社会性や客観性を確保し、利用者の立場や特性に配慮した適切な対応をするために、第三者委員会を設置することが望ましいとされます。次のような職務が求められます。

  • 苦情受付担当者からの受け付けた苦情内容の報告聴取
  • 苦情内容の報告を受けた旨の苦情申出人への通知
  • 利用者からの苦情の直接受付
  • 苦情申出人への助言
  • 事業者への助言
  • 苦情申出人と苦情解決責任者の話し合いへの立ち会い、助言
  • 苦情解決責任者からの苦情に係る事案の改善状況等の報告聴取
  • 日常的な状況把握と意見傾聴

事業所の規模に応じて検討してください。第三者委員会がない場合や不要な場合は、申し出た人と苦情解決責任者の話し合いによる解決を図ることになります。

苦情の受付

苦情の受付先は、重要事項説明書に記載が必要となります。苦情責任者・苦情受付担当者、第三者委員会、都道府県等の窓口の記載が一般的です。

  • 苦情受付担当者
  • 第三者委員会
  • 運営適正化委員会
  • 都道府県など障害福祉に関わる窓口

苦情解決へ向けての話し合い

苦情を、「利用者の声」として、サービスの質の向上につなげることが大切です。苦情解決には、事業者の真摯な対応が必要となります。

苦情解決責任者と申出人、第三者委員会が協力して話し合いで解決しようとする姿勢が大切になります。組織全体で対応する姿勢と、事実確認が最も重要です。初期対応の善し悪しが、苦情解決を左右しますので、十分に配慮した対応が求められます。

相談にあたり、次の点を留意することが良いとされています。

  • 苦情対応は、業務の中で最も優先して取り組む必要がある
  • 申出人の立場に立ち、誠意をもって対応する
  • 不快な思いをさせたことについて、謝罪する
  • たらい回しはしない
  • 曖昧な回答は避ける
  • その場しのぎの安請け合いは、トラブルが大きくなるのでしない
  • 苦情があった場合、速やかに苦情受付担当者に引き継ぐ

申出人(利用者)に接する話し合いの態度として次のような例があります。

  • 相手の言い分をよく聞く(すぐに否定しない)
  • 言い分がわからない時は、適宜確認する ただし、話の腰を折らないように注意する
  • わからないことは、よく調べてから確実な情報を回答する
  • 事実確認を十分に行い、事実に基づいた対応をする(早合点、思い込み等、自分勝手な判断はしない)
  • 言い訳、弁解、責任転嫁はしない 感情的にならず、冷静に対応する
  • 「出来ること」と「出来ないこと」をはっきり伝え、過大な期待を抱かせない
  • 情報の透明性を常に意識し、申出人への説明責任を果たす
  • 不当な要求等には、毅然とした態度で対応する 

記録の義務

受付内容の記録

苦情を受け付けた場合には、次の内容を記録することが必須です。(基準省令にて規定あり)

  • 苦情の内容
  • 苦情申出人の希望等
  • 第三者委員への報告の要否
  • 苦情申出人と苦情解決責任者の話し合いへの第三者委員の助言、立ち会いの要否

苦情受付書参考書式(WORD)(PDF)

解決結果の記録と公表

話し合いの結果を記録し保管することで、時系列での苦情の解決状況を確認することができます。

話し合い結果記録書参考書式(WORD) (PDF)

改善を約束した内容について、記録を残します。

苦情解決結果報告書参考書式(WORD) (PDF)

利用者によるサービスの選択や事業者によるサービスの質や信頼性の向上を図るため、個人情報に関するものを除き苦情内容と改善内容について「事業報告書」や「広報誌」等に実績を掲載し、公表することが望ましいです。

苦情解決や改善を重ねることにより、サービスの質が高まり、運営の適正化が確保されることが期待されています。また、定期的に記録を第三者委員会へ報告をしてください。

調査への協力

都道府県知事等による調査と、社会福祉法85条の都道府県社会福祉協議会の運営適正委員会による調査へ協力が求められます。

また、当道府県知事などによる調査の協力のほかに、指導又は助言を受けることや、必要な改善を行う必要があります。

さいごに

苦情・意見は、貴重な「利用者の声」であり、改善のきっかけになります。真摯な対応を心がけ、円滑・円満に解決するとともに、より信頼の高い事業運営へつなげてください。

参考

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    コメント一覧 (1件)

    • 息子が放課後等デイサービスを利用しています。管理者が他の利用者さん(子供さん)に暴言をはいたり、息子に小さい子供さん(利用者さん)のお世話をさせたりしています。療育や学習支援は出来ないと言われました。それでも大阪府から、お金が入っていると思うのですが、管理者の対応がかなり悪いです。

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