本記事は、福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の資料及び実施要綱を元に書かれた記事となります。詳細は厚生労働省及び都道府県の発表をご確認ください。
処遇改善補助金の各職種の関連ページは次の通りです。国の発表する詳細な情報はこちらを参照ください。
- 介護職員処遇改善支援補助金
- 看護職員等処遇改善事業
- 保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業
- 放課後児童支援員等処遇改善臨時特例事業(放課後児童クラブ)
- 福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金(障害福祉分野)
福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金(処遇改善支援補助金)は、障害福祉サービス事業所(児童発達支援や放課後等デイサービス)で働く職員の収入の3%(月9,000円)程度を賃上げすることをめざした補助金です。交付額は、事業収入に一定の交付率を掛けた金額となります。
児童発達支援と放課後等デイサービスでは、報酬額に1.9%を乗じた額が処遇改善補助金として交付されます。
計画書の提出は2022年4月15日締切りとなりますが、賃上げは2022年2月から実施されていることが求められますので注意が必要です。
福祉・介護の給与の引き上げをめざした交付金です。福祉・介護職員のほかに、事業所の判断によりその他職員の収入に充てる柔軟な運用が認められています。
従来の処遇改善加算とは別の交付金として運用されますので、別途申請が必要です。
取得条件
- 処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得している
- 令和4年2月、3月から実際に賃上げを行い、都道府県へ報告している。
- 賃上げ効果を継続するよう、補助金の2/3以上は月給の基本給または手当に使用され毎月支払われること
(2月と3月分のみ就業規則の改定が難しい場合は一時金での支払も可) - 計画書及び実績報告書を提出している
交付率
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、1.9%となります。
職員への支払方法
職員への支払方法が、処遇改善加算より厳しく決められていますので注意してください。
- 月給の基本給または手当として支給(ベースアップ)すること(交付金の2/3以上)
- 交付金の終了後も支給されることが期待されています
- 交付金の全額以上が職員の給与として支給されること
- 2022年2月と3月分のみ一時金(賞与の形)で支給可能
- 支給実績が給料明細などで確認できること
対象職員
福祉・介護職員だけでなくその他の職員の賃金改善にも充てることができます。
福祉・介護職員の処遇改善を目的と した交付金 であること を十分に踏まえた配分をお願いします。
福祉・介護職員が対象
ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、保育士、障害福祉サービス経験者、
世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、訪問支援員、夜間支援従事者、
共生型障害福祉サービス等事業所及び特定基準該当障害福祉サービス等事業所に従事する介護職員
その他加算として評価される職員 •賃金向上達成指導員、目標工賃達成指導員、児発・放デイの指導員等
その他職員
児発管、理学療法士など、事務員は、その他職種となります。(判断基準は、処遇改善加算と同じ)
申請方法と時期
申請
- 都道府県に事前(2月・3月)に賃上げ開始の用紙を提出
- 都道府県に福祉・介護職員、その他職員の賃金改善額を記載し、2022年4月15日迄に計画書を提出
交付時期
事業所に交付金が支払われるのは、6月からとなります。
6月までは人件費を先払いしなければならないため、事業所によっては負担が大きいかも知れません。
報告方法
- 都道府県に賃金改善期間経過後、計画の処遇改善実績報告書を事業所が提出
- 賃金改善額の総額を報告
- ベースアップの賃金改善額の総額を報告(改善額の2/3以上)
- 報告時点で要件を満たさない場合は返金
- 2023年1月31日実績報告書提出期限
交付額
障害福祉事業の基本報酬など(処遇改善加算及び特定処遇改善加算を含む加算)を加えた単位数に、加算率を乗じて算出となります。
例:総額219.4万円を受領している事業所の場合
内訳:
200万円(基本報酬+各種加算)
+16.8万円(職員処遇改善加算(Ⅰ)8.4%)
+2.6万円(特定処遇改善加算(Ⅰ)1.3%)
支給額:
219.4万円×1.9% で、 41,686円(処遇改善支援補助金)が交付予定
処遇改善加算とは、計算方法が異なりますので注意してください。
2022年10月以降の加算について
本補助金・交付金は、2021年12月20日に成立した2021年度補正予算で、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)に基づき実施されますが、予算は2022年9月までとなります。
10月以降は、臨時の報酬改定で新処遇改善が追加される予定となります。処遇改善加算など同じように支給される予定ですが、ベースアップ(月給として支払う)要件が求められると予想されます。
支給の考え方
月9,000円支給すると明言してしまう方法
これは交付金の目的と一致していて、職員からも歓迎されるかと思います。
ただし、交付額が一人9,000円より少ないと予想されることから、差額を通常の「処遇改善費」で補うことを前提に規則を作ると良いと思います。
個別に支給額を決定する方法
多くの事業所は、個別に支給額を決定する方法を採ると思います。事業主に支給額の裁量権がありますが、不満などにつながらないよう慎重に配分する必要があります。わかりやすいのは、全員一律いくらとする方法です。
また、交付額がまだ確定しないこともあり、適時見直しができるように定めておくと良いと思います。
手当として個別に支給額を決定する方法でも、支払わない月が発生する場合(手当0円の月がある場合)は、ベースアップとして認められないため注意が必要です。
調整弁としての一時金
9月末時点で、交付額と支給額に差額がある場合は、全体の1/3の範囲内で一時金として支給することを考えておきましょう。
途中で退職されるなどで、支給額が想定と変わることがあります。やむを得ない事情の時は、差額の返金になるようですが、返金するなら調整しながらしっかりと支給できる仕組みにしておく方が良いかと思います。
交付額以上を支給する必要があるので、9月分の給与で調整するか、一時金を出すか、調整弁を検討しておく必要があります。
就業規則や規定の記載例
就業規則の例
月給のベースアップ分については、就業規則や賃金規程を見直すか、新しく規定を作成する必要がある法人が多くあるかと思います。就業規則の記載例と、規定を作成する参考書式を掲載しています。参考にしていただき、詳細は各法人の人事や社労士と相談して作製をお願いいたします。
(処遇改善臨時特例交付金手当)
就業規則への記載例
第○条 福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金(以下、「処遇改善臨時特例交付金」という。)に基づき、処遇改善臨時特例交付金の交付見込額の範囲内に応じて、法人が個別に定めた額を月の給与に手当として支給する。
2 処遇改善臨時特例交付金の一部を、一時金として手当を支給する場合がある。
3 支給額については、交付額の変動が予想されることから、適時見直しを行うことができる。
規程を作成し周知する例
就業規則や賃金規程に詳細を記載するのではなく、別途規程を作成し周知する方法もあります。その場合の参考書式を掲載していますのでご利用ください。
- 福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の支給に関する規程(参考)(WORD) (2022/1/23更新)
このように定めることで、毎月の手当として処遇改善臨時特例交付金手当を支給できます。処遇改善臨時特例交付金手当は長いので、処遇改善手当として支給しても良いかと思いますが、すでに処遇改善手当がある場合は、計算しやすいように名称を別けておいた方が良いかと思います。
支給対象者を、福祉・介護職員と指定していますが、全従業員とする方法もありますので、事情に合わせて2条の支給対象を修正してください。
就業規則を労基へ提出を
就業規則や賃金規定を変更する場合も、別途規定を作成する場合も、どちらも賃金に関わる変更になりますので、労働基準監督署へ就業規則変更届を提出してください。
Q&Aについて
Q&Aは、別ページを更新していきますので、下記をご確認ください。